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2004.12.05

安倍なつみメンバー

安倍なつみさんの盗作事件で、プログを覗いていたら、いろいろなところで安倍なつみメンバーと書かれていたから、ちょっと笑ってしまった。

なるほど、刑事事件の被疑者ではないから「容疑者」という呼称をつかうわけにはいかないが、かといって敬称をつけるのもはばかられるといった場合、当人の職業としての身分(?)を名前にくっつけて呼ぶのは、便利な方法かもしれない。

この「メンバー」という呼び方は、稲垣吾郎さんが道路交通法と公務執行妨害の現行犯で逮捕されたとき、釈放されてから(このへんの記憶があいまいだが、調べるのが面倒なのでこのまま書くが、あのときはたしか、略式命令で刑事事件としては決着をみたんだったけかな)復帰するまでのあいだにつかわれて、これがたぶん「メンバー呼称」の最初かとおもわれる。

最近では「メンバー」ではないが、島田紳助の、吉本興業の女性社員に対する暴行傷害事件のさい、書類送検された段階で一部の報道機関が「島田紳助タレント」「島田紳助司会者」という呼称をつかっていた。そうかとおもうと「容疑者」をつかっている社もあって、各社バラバラの対応ではあったが、島田事件の場合では容疑者でもいいのでは、とぼくなんかはおもっているがどうでしょうか。

容疑者ではないが真っ白でもない人に対して、「その人の社会的(職業的)身分をそのままくっつける」という方式が編み出されたのは、オウム真理教事件の村井秀夫が初めではないか。
村井が殺害されたのち、じつは彼がサリン事件の主犯格(実行犯ではないが指示、命令を下した)であることが判明し(すくなくともほかの被疑者、被告人の証言によって、そういうことにされた。このあたりは死人に口なし)、それまでは「村井秀夫氏」と呼んでいたマスコミがいっせいに「村井秀夫幹部」と呼び出した。

村井秀夫幹部、村井幹部と、さも昔からつかっていたような口ぶり(あるいは書きぶり)で、幹部幹部を連呼するのは違和感があった。これがたとえば「リクルートの江副(元)社長」とか「鈴木宗男(元)衆議院議員」みたいな、あるいは「NHKの海老沢会長」「北朝鮮の金正日総書記」みたいな、事件に関わりなく、ふだんからその呼び方で呼ばれている肩書きならしっくりくるのだが、通常はそんな呼ばれ方をしない、幹部だのメンバーだのタレントだのをくっつけられても、なんとなくすわりが悪いというか、落ち着かないというか、文字どおり「とってつけたような感じ」がぬぐえない。

あれからもう十年くらいがたって、「社会的(職業的)身分をそのままくっつける」のにもだいぶ慣れてはきたが、しかし当初いだいた違和感は払拭されず、ましてや「タレント」だの「メンバー」だのと言いだされた日には、この呼称の「すわりの悪さ」があらためて耳につく(目につく)ような気がする。

しかし考えてみれば「○○容疑者」という呼び方からして、どこか落ち着きの悪さがかんじられる。
この呼び方をされはじめたのは、田中角栄逮捕のあとだった。元首相の田中角栄がロッキード事件で逮捕されたとき、それを伝える報道が「逮捕された田中角栄は」「特捜部によれば田中角栄は」のように、その当時の事件報道がそうしていたのおなじく、身柄を拘束された元首相を呼び捨てで扱ったことに対して、自民党あたりからクレームがつき(一国の総理までつとめた人を呼び捨てにするとは何ごとか云々)、そののち被疑者を呼ぶのに「○○容疑者」がつかわれるようになった経緯がある……ように記憶しているが、まちがっていたらごめんなさい。

戦前の、あれは明治の新聞だったか。とにかく昔の新聞では被疑者はおろか、被害者ですらなんらの敬称がつけられず、呼び捨てにされていたことを考えると、被疑者にもなっていない(なるのをまぬかれた)人物に対しても、なんらかの肩書きがつけられて呼ばれるのは、ひとつの進歩ではあるのだろうか。人類の進歩と調和。

ふまえておく必要があるのは、これらがけっして「人権上の配慮」ではないという点だろう。いわゆる放送禁止用語で使用が禁止されている「不適切な表現」(もちろんその中には、つかわないほうがよいい言葉、絶対つかうべきではない言葉もあるとはおもう)が、差別問題をふかく考えて、真摯に受けとめた結果などではなく、ただたんに「いろいろうるさいことをやつがいるから、とりあえず言わないでおこう」程度の処置であるのと同様、呼び捨てにするとまたクレームをよこされるとか、相手が万が一潔白(無実)だったら訴訟問題にも発展しかねないなどの理由から、「とってつけた感」を百も承知、二百も合点のうえで、わざわざ使用していると推察される。

もっともこの腰のすわらなさこそが、商業ジャーナリズム(左翼風にいえばブルジョアマスコミ)の特色といえばいえるのだろうけれども。

ところでその「安倍メンバー」は、来年一月いっぱい、活動を自粛するそうだ。したがって大晦日のNHK『紅白歌合戦』も出場辞退、「後浦なつみ」ユニットも「後浦」だけになってしまった。個人的な好みでいえば、この三人の中ではゴマキが好き、安倍なつみさんは好きでも嫌いでもないが(ナベプロ所属の妹はちょっとどうかとおもう)、松浦亜弥は嫌いです。

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